BPが示した温室効果ガス削減シナリオ別の石油需要(石油製品や石炭・天然ガスからの派生商品も含む需要)推移は以下の3種類だ。

(1)現在の経済活動を維持し、温室効果ガス削減を現在のペース通りとした場合
(2)炭素価格の上昇を始めとする一連の政策効果で、2050年までにエネルギー利用による炭素排出量を70%削減し、地球の気温上昇を2100年までに産業革命前の水準から2℃以下に抑える場合
(3)上記の(2)に加えて社会的行動に変化が起き、炭素排出量がさらに加速するケースで、2050年までに炭素排出量を95%以上削減すると仮定した場合(なお、このシナリオは産業革命前の水準からの気温上昇を1.5℃以下に抑えるシナリオとほぼ一致している)

 温室効果ガスを積極的に削減した場合に石油需要が顕著に減少するのはわかるが、最も意欲的なシナリオだと今から30年後に石油需要は3060万バレルと、現在の3分の1以下に減少する予想だ。この場合、現在のOPECの原油生産能力で十分、ということになり確実に原油は余ることになる。

 現在の経済活動を維持した場合でも、化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトが起きるという供給面の変化や、生活様式の変化に伴う化石燃料需要自体の減少が進むとみているということだ。

 この結果、15年後の2035年には現在の水準を下回る見通しとなっている。BPはビジネス戦略的に温室効果ガス削減を強力に推進している欧州の企業であることを割り引かなければならないが、化石燃料需要が減少する大きな流れは変わらないと考えられる。

 実際には再生可能エネルギーへのシフトが進む前に石油よりも環境にやさしい天然ガスへのシフトなどが起き、完全に脱炭素、というわけにはいかないだろうが、自然体シナリオと温室効果ガス削減加速シナリオの中間程度のシナリオに落ち着くのではないか。

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航空向けの燃料需要は構造的に回復が困難

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