“逆オイルショック”だ。原油価格の代表的指標であるWTIが一時、史上初のマイナス価格に沈んだ。コロナ禍に端を発する経済失速による需要蒸発で原油は大幅な供給過剰。今後も価格低迷は不可避だ。採算の取れなくなったシェール企業の破綻が相次げばハイイールド債、CLO(ローン担保証券)などの価格が下落し、金融危機を招きかねない。特集『逆オイルショック経済』の#1では、原油価格がマイナスに陥った背景と原油価格低迷が金融危機を招くメカニズムを解明する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
第1次オイルショックの上昇率と
同じ比率の価格下落が起きた
“逆オイルショック”が起きた。4月20日、原油価格の代表的指標の一つであるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は率にして前週末比305%、額にして1バレル当たり約56ドル下落し、マイナス37.63ドルを付けた。価格がマイナスになるのは史上初である。
第4次中東戦争勃発を機に起きた1973年の第1次オイルショック時に、ペルシャ湾岸の産油国は原油価格を約4倍、率にして300%前後引き上げた。今回は、ほぼ同率分下落したわけで、まさに“逆オイルショック”である。
マイナス価格は、売った側がおカネを払い、買った側がおカネをもらえる異常な状態だ。なぜ、こんな事態になったのか。