航空向けの燃料需要は
構造的に回復が困難
毎週発表されている米国の石油統計で把握できる米国の石油製品需要(石油製品出荷)はロックダウン後から回復しているが、前年水準を大きく下回る状態が続いている。
製品別に見ると最大用途であるガソリン需要は前年比▲6.7%の日量860万バレル(本稿執筆時点)と、まだ過去5年の最低水準を回復していない。商用車やトラックの燃料に用いられるディスティレート(ディーゼルオイルや灯油など)はさらに落ち込みが大きく▲9.3%の357万バレルだ。
しかし、石油製品全体の出荷は▲14.8%の1781万バレルと、ガソリンやディスティレートよりも落ち込み幅が大きい。これは主にケロシン需要の減速によるものだ。ケロシンは主に航空燃料向けに用いられるが、前年比▲47.5%の91万バレルと前年のほぼ半分に落ち込んでいる。これは新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、各国とも相互の入国を制限しており、飛行機の旅客需要が落ち込んでいるためである。
新型コロナウイルスのワクチン開発が進み、自宅でも治療可能なインフルエンザでのタミフルやリレンザのような薬が開発されれば、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした人の移動制限は解除される。そうなれば、入国制限の解除とともに航空需要も回復していくと考えられる。だが、前年比ベースでの回復には上限が付くと予想される。
すでに多くのビジネスでリモートワークが定着しつつあり、航空輸送の需要が構造的に回復し難い環境になっているからだ。
新規顧客の開拓や新しく契約を締結するような場合はリモートのみだと難しい面もあるが、既存顧客とのミーティングは国内外を問わず、世界中どこであってもわざわざ出張しなくてもよい、という対応をしている企業は国籍を問わず増加している。国家間の移動は飛行機を用いることが多いため、航空向け燃料需要は最もこの影響を受けることになる。また、旅行などの余暇需要の回復にも時間がかかると予想される。
さらに、今回のコロナウイルス問題と全く別の議論であるが、今回のパンデミックを契機に欧州を中心として、脱化学製品の動きが強まっていることも需要面の構造変化の一例だろう。




