上昇傾向で推移してきた原油相場の上値が重くなっている。6月23日には欧州北海産のブレント原油で1バレル当たり43.93ドル、米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油で41.63ドルまで上昇したが、その後、上値を伸ばせずにいる。
OPEC(石油輸出国機構)にロシアなど非OPEC産油国を加えた「OPECプラス」は、4月12日に臨時閣僚会合を開催し、協調減産の規模を5~6月に日量970万バレル、7~12月に770万バレル、2021年1月~22年4月に580万バレルと段階的に縮小することで合意した。
それでも市場参加者からは、減産幅が不十分との見方がなされ、WTIは4月20日にマイナス40.32ドルと大幅なマイナス価格を付け、ブレントも22日に15.98ドルまで落ち込んだ。
しかし、その後、原油相場は上昇に転じた。4月後半以降、欧米各国で新型コロナウイルス対策で導入されていた経済活動の制限を緩和する動きが強まり、石油需要の回復観測につながった。最大消費国である米国の原油処理量は4~5月を底に持ち直した。
開催時期などを巡って情報がやや混乱した6月6日のOPECプラスの閣僚会合では、5~6月の大幅協調減産を7月末まで延長する決定がなされた。また、厳しい事業環境にある米シェールオイルの減産が進んだことも相場上昇を支援した。