自民党は現在、支持率の回復に懸命だが、鳩山政権のスキャンダルや失政の追及だけではうまくいかない。国民の自民党への不信感が根深いからだ。自民党自身が変化した姿を国民に見せなければならないのだが、それには「保守への回帰」という空しい空論ではダメだ。むしろ小沢幹事長の国会改革に積極的に乗って、若手による政策論戦を挑むことだ。それがほぼ唯一の支持率回復への道だと考えるべきである。

 そして、石破政調会長は参院選での落選大物議員の公認という、党内の流れを断ち切ることである。逆に、石破政調会長が小沢幹事長の国会改革を「独裁」と批判するようなら、自民党復活への道のりは更に険しくなるだろう。

 この連載では、政界の「世代交代」の先まで考えたい。それは、政界の「世代交代」を経済界、学界やジャーナリズムなどへ波及させることだ。これらの業界では20年前と中心的な顔ぶれがあまり変わっていない。そろそろ、実務の中心は40代、リーダーは50代前半という、欧米並みまで若返るべきだ。それには、日本社会の中心にある政界の世代交代が進み、それがその他の業界の長老支配終焉の起爆剤となることである。

日本の新しい国家戦略を
国民運動で創る

 この連載では、鳩山政権誕生前から、経済財政諮問会議等の審議会を停止するなら、その代替となるブレーン機能をどう確保するかが重要な課題になると指摘してきた(第20回)。しかし、鳩山政権はいまだブレーン機能を確保できず、成長戦略を描けないできた。

 「経済財政諮問会議」の廃止や「財政制度等審議会」の休眠化など自民党時代の審議会を停止したが、その諮問会議の代替としての「国家戦略会議」が機能しなかった。その上、各省庁では政務三役が政治主導で戦略立案を図ろうとしたが、付け焼刃で拙速に物事を決めようとしてもうまくいかなかった(第37回)

 鳩山政権は、この「成長戦略がない」という厳しい批判に対応するために、12月30日に新たな経済成長戦略「輝きのある日本へ」の骨格となる基本方針を決定した。「環境・エネルギー」「健康」「アジア」「観光・地域活性化」「科学・技術」「雇用・人材」を戦略分野と位置付け、2020年までの達成目標と主な施策の方向を示したものである。鳩山政権は今後、6月をめどに施策の具体化作業を進め、実行計画となる行程表を作成する。

 この成長戦略が、「コンクリートから人へ」という大転換を図ったこと自体は評価に値する。しかし、それは政府の財政出動を中心に推進するとしており、成長戦略に欠かせない企業の収益拡大に対する配慮がない。これはやはり、「政治主導」の掛け声の下で政務三役と官僚だけで成長戦略を練ろうとしても、企業経営者など有識者から幅広い意見や情報を吸収できないのでは限界があることを示している。

 従って、成長戦略策定におけるブレーン機能の確立が、今年の鳩山政権の最大の課題である。しかし、いまだにそのブレーンの存在が見えてこない。これでは鳩山政権が廃止した経済諮問会議のほうが、民間の発想をオープンな議論を通じて経済政策に取り入れていて、よかったということになるのではないだろうか。

 鳩山政権が新しいブレーンを探せないというなら、成長戦略作成を国民参加型の運動として盛り上げることを提案したい。新しい日本の国家戦略を広く国民から公募して作成するということだ。

 国民の側も、いつまでも「政治家が悪い、官僚が悪い」と人任せにするばかりではダメだ。自ら新しい日本を創る作業を行うべきである。暗い話、内向きな話はもうたくさんである。国民全体で攻めに転じて新しい日本を創る。今年はその始まりの年になってほしいと思う。