これまで維新の会の税制や財政政策については、維新八策を材料として、この欄で個別に検証をしてきた。今回は、税制に的を絞って、より深く検証してみたい。

 特色のある政策は、以下の4点である。

 第1に、資産課税の強化、2番目に、負の所得税(努力に応じた所得)とベーシックインカム(最低生活保障)、3番目に、フラット・タックス、4番目に消費税の地方税化である。すでに3と4についてはこの欄で論じた(フラット・タックスは第25回、消費税の地方税化は第26回)ので、今回は1と2に重点を置いて論じたい。

資産課税の
強化は可能か

 維新八策は、個人の資産・ストックについて、いろいろな局面で重視する政策をとっていることが読み取れる。社会保障制度の分野でも、「所得と資産の合算で最低保障、所得と資産のある個人への社会保障給付制限」という記述がある。そしてその前提として、国民背番号制の導入、それを活用して「所得・資産(フロー・ストック)を完全把握する」ことをうたっている。

 個人の資産というと、金融資産以外に貴金属・書画骨董といった実物資産があるが、これらも番号付きで把握することを考えているのだろうか。この点について配慮すべきは、かつてグリーンカード制の導入時に生じた(と言われている)海外への資金・資産の逃避である。

 加えて、個人の金融資産残高ですら、完全把握するためには、過去にさかのぼってすべての預金通帳に番号を付けていく必要があるが、これは可能だろうか。