米国と中国という2つの超大国のハイテク冷戦によって世界は高い代償を払わされている。米中の対立はすでに両国のハイテク産業を大きく混乱させ、大手ハードウエアメーカーや半導体設計会社のほか、ソーシャルメディア・サービスにも悪影響を及ぼしている。その波紋は今や米国の農村地帯や欧州、世界の隅々にまで広がり、業界を超えた影響が明らかになりつつある。特に打撃を受けているのは通信と半導体の分野だ。トランプ政権はこれらの分野で中国の主要企業を米市場から閉め出し、米国企業による対中輸出を制限した。売上高の喪失や中国製通信機器の代替品への交換などによるコストは数十億ドルにも上る可能性があると産業界はみている。しかも影響はハイテク企業の収支だけにとどまらず、はるかに広範囲に及ぶ。米半導体メーカーは対中販売の喪失が研究開発費の減少につながることを懸念している。そうなれば、世界の半導体業界のリーダーとしての米国の地位を支えてきた最先端の半導体の生産を続けることが難しくなるためだ。