いわゆる“名もなき家事”に該当する問題であろう。Aさん夫は当番として割り当てられている“名前のついた家事”はするが、それ以外の部分、すなわち“名もなき家事”には無頓着なので、真の「夫婦で半々」はAさん視点では達成されない。当番制は負担割合をコントロールできて一見合理的に思えるが、無数にある名もなき家事を勘定に入れるのが難しいため、実質的には負担割合をコントロールできていない事態に陥るおそれがあり、この点注意が必要である。
 
 一方、家事分担がうまく機能していると思われるBさん(36歳女性)世帯でも、夫の負担割合はAさん世帯と同様の「3割」(Bさん談)である。Bさん世帯では曜日ごとの当番制ではなく、夫の家事を「ゴミ出し・風呂掃除・雑巾がけ・皿洗い」と決めて動かさない担当制である。
 
 妻(Bさん)は夫を高く評価しているが、これには夫の家事へのスタンスに理由がありそうである。
 
「夫は担当している家事以外にも率先して動いてくれようとするので、ありがたいなと思う機会が多い。
 
 在宅時間は私の方が長いので、夫の負担が3割は妥当。実質的な家事への貢献度合いは大したことはなくても、手伝ってくれる姿勢から『妻の負担を減らして少しでも楽をさせよう』という思いが伝わってきて、非常に満足している」(Bさん)
 
 たかが家事、されど家事である。単なる“自分に課せられた片付けるべきタスク”として取り組めば家事のありようはまさしくそうなるが、“相手の負担を減らすために片付けるべきタスク”として取り組めばありようはまたそう変わる。同じタスクでも向き合い方が変わるだけで、パートナーに与える印象が違ってくるのである。
 
 先のアンケートでは、家事への貢献度と夫婦仲の相関関係がある(パートナーの貢献度に満足しているほど夫婦仲は良くなる)ことを示唆するデータも示されていた。家事分担に関する議論は当今のはやりともいえるが、円満な家族仲を築くためのヒントもそこに隠されているとするなら、なお考察に値する有益なテーマである。
 
 家事は生きている限り永遠に続くのが特徴で、小さなほころびが山積して大事に至ることは珍しくない。結婚という共同生活において家事は根幹を成している要素の一つであり、決して軽視することなく「家事とは何か」を今一度考えてみても損はないであろう。何よりBさん世帯の話を聞いていると楽しそうであり、生きていく以上楽しいに越したことはないからである。