共稼ぎなのに家事は1人、「ワンオペ妻」の我慢が限界を超えるとき夫婦共働きなのに、家事を妻に押し付けていないだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

厚生労働省「平成29年(2017)人口動態統計月報年計」によると、日本の離婚件数は、平成14年の約29万件をピークに減少し、平成29年では約21万件だった一方、逆に40代以降の夫婦の離婚割合はむしろ増加傾向にあるようだ。この傾向を踏まえ、夫婦の家事の負担面から考えてみたい。(エッセイスト 鳥居りんこ)

家事と育児に非協力的な
夫の姿に失望する妻

 先日、定年を迎えた夫を持つ知人から「離婚報告」を受けたが、最近の風潮ではこれも特に珍しいことではないと思っている。

 なぜならば、日本の離婚件数は、平成14年の約29万件をピークに減少し、平成29年では約21万件だった一方、40代以降の夫婦の離婚割合はむしろ増加傾向にあるからだ(厚生労働省「平成29年(2017)人口動態統計月報年計(概数)の概況」参照)。

 さらに、全国20~69歳の有配偶の男女と離婚経験のある男女に、離婚の実態や離婚者の特徴などについて調査した「離婚に関する調査2016(リクルートブライダル総研調べ)」によると、離婚理由で女性の方が高く、男女差が大きい上位3項目は「〈相手が〉育児に協力的でない」「〈相手の〉借金」「〈相手が〉家事に協力的でない」の順となっている。

 つまり、妻は夫が思うよりもはるかに「夫の家事と育児に非協力的な姿」を腹に据えかねており、その“コップに溜め込んだ不満”が溢れ出た瞬間に「離婚の決意」を固めるのだと思う。

 この傾向を踏まえ、今回は「正面切って向き合わない」日本の夫婦(=和を尊ぶという伝統的精神から夫婦であっても深い話し合いを避ける傾向にある)がどのような状況に置かれやすいのか、「家事」にスポットを当てて考えてみたい。