高まる自転車事故リスク
事故発生率上位の都道府県は?
新型コロナウイルスの感染が広がる中、電車やバスなどの「密」を避けることができる自転車通勤への注目が高まっている。政府が自転車活用を促進していることもあり、自転車を利用する人は増加しそうだ。
満員電車などの不快な思いをせず、運動不足の解消にもなる。自転車通勤は一石二鳥と言いたいところだが、一方でリスクも高い。
その一つは、事故を起こした際の賠償リスクだ。
2013年には自転車に乗った小学生男児と衝突した女性が、意識不明になる事故を巡り、神戸地裁が男児側に約9500万円の賠償を命じる判決を出した。その後も自転車事故の加害者に対する高額の賠償判決が相次いでいる。
東京都では今年4月から自転車保険加入が義務化されたが、他にも多くの自治体が自転車の保険加入を義務付ける条例を制定しつつある。
自転車への罰則も強化されつつある。
今年6月末にあおり運転の厳罰化を盛り込んだ改正道交法が施行されたが、自転車のあおり運転も酒酔い運転や信号無視と同じく「危険行為」と規定。3年以内に2回違反した14歳以上は安全講習が義務化され、受講しないと5万円以下の罰金が科される。
警察庁によれば、全国での自転車関連事故の発生件数は2017年が9万407件(うち、死亡事故が479件)、2018年が8万5641件(同、454件)、2019年が8万473件(同、436件)と減少傾向だ(数値は各年1-12月)。
さらに2020年に入ってからも1-8月までで4万1319件と、コロナによる外出自粛の影響もあり、前年を大きく下回るペースだ。
とはいえ、自転車関連事故の発生状況は、都道府県によって大きく異なる。
今回は、警察庁が取りまとめた自転車の交通事故件数データおよび、自転車産業振興協会による自転車保有台数データを使って、自転車事故が多い都道府県ランキングをお届けする。
自転車関連の交通事故が多い都道府県はどこなのか。早速、ランキングを確認していこう。
福岡、兵庫、愛知などが上位
保有台数で最多の東京は11位
今回、自転車事故の発生率(1万台当たりの事故件数)で1位となったのは静岡県だった。
自転車保有台数は全国で10位の185万3000台ながら、事故発生件数は9位の3986件。
自転車1万台当たりの年間事故件数は21.51件に上っている。