都会の常識“没交渉”
忘れ去られた“ご近所マイホーム感”の魅力

 ご近所付き合いは没交渉の都会流儀と密な田舎流儀、それぞれに長所短所がある。田舎流儀を体験してみると、都会ももう少し親交があってはよいのではないかと考えるようになったが、現実問題都会に密なご近所コミュニティを導入するのは難しいであろう。都会人は皆忙しく、休日は自分のことに時間を使いたい。だから余暇の時間にご近所コミュニティに参加したいと思わせるには、そこが楽しいものであると認識してもらう必要がある。

 しかし、「参加する意義を特に感じない」という空気がはびこる昨今、楽しいと感じてもらうための最初の一歩を踏み出させるのが至難の業だ。目指すは一部のご近所さんが盛り上がるに留まらず、近隣住民のほぼ全員が参加するコミュニティであるが、「不参加は罰金2,000円」の強制力はやはりどう考えてもスマートではないから、さてどうしようかということである。
 
 そもそも都会でご近所付き合いが没交渉気味になったのは必然だ。田舎に比べて人の出入りが激しく、地域の催しなどに見られる生ぬるい刺激よりよほど魅力的な刺激が手を伸ばせるところに転がっている。人との出会いも多いので、ご近所に頼らなくても参加したいコミュニティが山とある。昨今はSNSでコミュニティの数が爆発的に増えているのでなおさらだ。
 
 ご近所コミュニティへの参加は、他のコミュニティ参加では決して得られない“自宅周辺へのマイホーム感”を得ることのできる唯一の道筋なのだが、この魅力が忘れ去られて久しい…それが都会である。現状維持でなんの不都合もないであろうが、変革があれば生活がなお楽しくなるかもしれない可能性が、都会暮らしにはあるということは指摘しておきたい。