大麻、電気自動車(EV)、ブックメーカー(賭け屋)、宇宙旅行といった話題のセクターで、スタートアップ企業がある手法で相次ぎ上場を果たしている。この特殊な上場構造は、通常の新規株式公開(IPO)に義務づけられている投資家向けの保護措置の一部を迂回(うかい)する一方、支援者には桁外れの利益をもたらす可能性がある。こうした新興企業は、特別買収目的会社(SPAC)と呼ばれる上場のペーパーカンパニーと合併することで、すでに売買されている既存の株式と入れ替わる形で上場を果たす。これにより、新型コロナウイルス禍の反騰相場に殺到した個人投資家を含め、一般に株式を売却することが可能になる。SPACが今年に入って発表したターゲット企業との買収案件は71件と、過去最多のペースとなっている(データ提供会社SPACインサイダー調べ)。このうち少なくとも15件については、ターゲット企業の昨年売上高がゼロだ。