写真はイメージです Photo:PIXTA
数百万円だった絵が、数十年後に100億円超で落札される――。そんな現象が当たり前のように起きるのがアート市場だ。なぜ絵画はここまで高騰するのか。その裏には、ギャラリー、美術館、評論家、コレクターが関わる「価格を生む仕組み」がある。アートに現実離れした値段がつくときの条件を解説する。※本稿は、美術評論家の秋元雄史『芸術の価値とは何か AIが奪い尽くすからこそ、アートに“解”がある』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。
原価のないアートの価格は
誰が決めているのか?
アートの価格は、誰がどのように決めているのでしょうか。飲食物や日用品のように原価があるわけでもなければ、不動産や株式のように査定や業績といった明確な基準もありません。にもかかわらず、アートの作品には数百万円から数億円といった値が付き、時には天文学的な価格で取引されます。
この価格が成立する背景には、ギャラリー、美術館、評論家、メディア、そしてコレクターたちによる、いわば“共犯的評価システム”の存在があります。
まず基点となるのが、ギャラリーによる評価形成です。プライマリー市場(編集部注/作家自身がギャラリーなどを通して作品を販売する市場)では、ギャラリーが作家と契約を結び、展示や販売を通じて作品の価値を提示します。
ここでの価格設定は、単に作品の大きさや素材で決まるものではなく、その作家がどれほど将来性を持ち、どのような市場で活躍できるかといった期待値によっても左右されます。若手作家においては、ギャラリーが戦略的に価格を抑えつつも「将来的に値上がりする作家」としてコレクターに売り込むことが多く、ここでの評価がセカンダリー市場(編集部注/すでに誰かに購入された作品が再販売される市場)での取引に大きな影響を与えていきます。







