2019年に中国で発生した新型コロナウィルス(COVID-19)は、2020年に世界中で大流行し、いまだに収束する気配がない。
日本政府はGo Toキャンペーンに熱心だが、季節が冬に向かうのに合わせてか、感染者が激増している。
ヨーロッパでは再びロックダウンに踏み切る地域も出てきた。
経済アナリストであり、歴史にも詳しい中原圭介氏は、この状態が長引く、あるいは収束してもすぐに次のウィルスが現れると読む。
つまり我々は、ウィルスと共存する時代を生きていかねばならないのだ。
我々はこの困難な状況の中でいかにして経済を立て直していくべきなのか?
中原圭介氏の最新刊である「疫病と投資」から一部を引用し、考えてみたい。
工場労働における給料の
物差しであった「時間給」
テレワークが広がることによって、出社して働いた時間を前提とする日本型の雇用制度が変わり始めます。具体的には大企業を中心に、時間給から成果給に切り替えるところが増えてくるでしょう。その判断が早い企業ほど、競争力が高まりますし、切り替えられた企業と切り替えられなかった企業の間で二極化が進みます。
日本の賃金制度の基礎となってきたのは、戦後間もない1947年に施行された、労働時間や賃金の制度を定める労働基準法です。この法律は、働く時間と生産量が比例する工場労働を前提としています。工場労働においては働いた時間が賃金を決めるための物差しであり、その正確な把握が必要不可欠でした。その結果、長時間労働を美徳とする企業文化が生まれたのです。
ところがデジタル化が進み産業構造が変化したことで、働いた時間と成果が比例しない仕事が急増しています。そのため定型作業を除けば、労働時間を賃金算定の基準にすることは理にかなわなくなり、時間管理の意味は薄れてきました。
仕事の評価が時間から成果に変わると、能力の高い人は短時間で仕事を終え、空いた時間を副業や勉強に充てるようになり、さらに能力が向上します。当然、個々の社員の給料とスキルの二極化は今まで以上に進むでしょう。
格差は生じるものの、年功による格差と成果による格差のどちらがフェアで居心地が良いでしょうか。
今の20代、30代は実力主義を重んじる傾向が強いので、すんなり受け入れるでしょう。とりわけ女性にとって、これまでは長時間労働がネックでした。家事、育児をこなさなければならないため、極めて高いスキルを持っているにもかかわらずパートタイムの仕事しか出来ず、正当な評価を受けられない女性は大勢いたはずです。労働時間ではなく成果で評価されるようになれば、女性の社会的地位は間違いなく上がります。
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