2019年に中国で発生した新型コロナウィルス(COVID-19)は、2020年に世界中で大流行し、いまだに収束する気配がない。
日本政府はGo Toキャンペーンに熱心だが、季節が冬に向かうのに合わせてか、感染者が激増している。
ヨーロッパでは再びロックダウンに踏み切る地域も出てきた。
経済アナリストであり、歴史にも詳しい中原圭介氏は、この状態が長引く、あるいは収束してもすぐに次のウィルスが現れると読む。
つまり我々は、ウィルスと共存する時代を生きていかねばならないのだ。
我々はこの困難な状況の中でいかにして経済を立て直していくべきなのか?
中原圭介氏の最新刊である『疫病と投資』から一部を引用し、考えてみたい。

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年に4回もワクチンを
摂取しなくてはならない?

インフルエンザなどが流行しやすい真冬に広がり始めたCOVID‐19ですが、当時、感染症の学者たちが口を揃えて言っていたのは、「湿度が上がる夏にはウイルスが弱体化するので感染拡大は収まるだろう」ということでした。

でも、実際はどうだったでしょうか。日本では外出自粛の効果によって2020年5月上旬から6月中旬にかけて新規感染者数が落ち着き、1日あたりの新規感染者数は2ケタに収まっていましたが、6月下旬にかけて100人台に乗せた後、7月末にかけて急増し、ピーク時の1日あたり新規感染者数は1600人弱にもなりました。

この事実から、「夏になればウイルスは弱体化する」という見立てが完全に的外れだったことが分かりました。夏でも感染が広がったことから、他のインフルエンザ・ウイルスとは別物であることがはっきりしました。COVID‐19はこれまでの感染症のセオリーが通用しないシロモノであると考えられるのです。

夏でも収まらなかったCOVID‐19が今後どうなるのかについても、全く不明です。一般的には乾燥する秋から冬にかけて、ウイルスの活動が一段と活発になりますから、2020年6月下旬から7月末にかけての感染者急増が第二波だったとすると、第三波、第四波というように感染拡大が起こることも十分に想定されます。

何よりも怖いのが、第三波、第四波というように新しい感染拡大が到来した時、COVID‐19の毒性が突然変異によって強まるリスクがあることです。そもそも発生源とされる中国武漢では、それほど毒性が強くなかったのに、イタリアをはじめとして欧州全体で猛威を振るったCOVID‐19は、突然変異によって毒性と感染力が強まりました。日本で広がったウイルスは毒性の弱いアジア型でしたが、いつその毒性が強まるかは何とも言えません。そのくらい、COVID‐19の正体は誰にも分からないのです。

だからこそワクチン開発が急がれているわけですが、イギリスのキングス・カレッジ・ロンドンの研究チームによると、COVID‐19に感染した65人を対象にして抗体の量の経過を観察したところ、発症から3週間程度で抗体の量がピークに達し、そのうち約60%の人は強力な抗体を持つことが判明しました。しかし、発症から3ヵ月が経過すると強力な抗体を維持できる人は約17%まで減少してしまうことも判明しました。

そうなると、ワクチンを打って抗体をつくったとしても3ヵ月しか持たないのだから、年4回、ワクチン接種の注射を打たなければなりません。しかも、ワクチンを打ったら絶対に罹患しないというものでもありません。たとえばインフルエンザだって、型が変わればワクチン接種の効果はなくなります。COVID‐19の場合、突然変異の可能性がありますから、ワクチンを打った直後に突然変異すれば、突然変異後のCOVID‐19には効果がなくなることも考えられます。

ワクチン開発競争が世界的に激化しています。WHOはパンデミックを少しでも抑えるため、本来なら治験で80%以上の有効性がなければ、ワクチンを認めないのですが、COVID‐19に関しては、50%に引き下げています。有効性50%というのは、半分の人には効きますが、半分の人はワクチンを打っても罹患することを意味します。

有効性が低いワクチンを打つと、「抗体依存性感染増強」という副作用を引き起こす恐れがあります。これは体内に十分な抗体が出来ていない状況からウイルスの増殖が速くなる現象で、この副作用が生じると重症化するリスクが高まると言われています。ワクチンに対する期待感は高いものの、現状においては決定打にはならないと考えられます。結局のところ、私たちはCOVID‐19と共生していくしかないのでしょう。

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