近年、中学受験では「大学付属校」人気が高まり、激戦となっています。「早慶GMARCH」「関関同立」をはじめとする、人気の「付属中学」の合格を勝ち取るにはどうすればいいのか?
実は、付属校の入試問題は、「御三家」を頂点とする進学校のような難問があまり出ないので、大手塾で落ちこぼれたり、偏差値が20足りない子でも、付属校に“特化した”勉強をすれば、「逆転合格」できる可能性は高いのです。
早慶中学合格率80%、大学付属校合格率100%を誇る「早慶維新塾」塾長の野田英夫氏の話題の著書『中学受験 大学付属校 合格バイブル』の中から、付属校合格のために大事な視点を、一部抜粋してご紹介いたします。
模試の判定と過去問の出来、どちらを信用するか?
「模試の判定での合格率はいつも30%程度なのですが、過去問の正答率は80%です。どちらを信用すればいいですか?」。6年生の親御さんからよくいただく質問です。
答えは、もちろん過去問です。目指しているのが付属校で、受けている模試が首都圏
模試センターの「合判模試」以外であれば、なおさら、過去問の出来を信用すべきです。
『中学受験 大学付属校合格バイブル』でもお話ししてきたように、日能研の「全国公開模試」、四谷大塚の「合不合判定テスト」、SAPIXの「合格力判定サピックスオープン」はいずれも、難関校向けの出題傾向で、付属校の判定に向いていないからです。ですから、信じるとすれば過去問のほうなのです。
実は過去問との相性は、非常に重要です。
模試で偏差値が届いていなくても、過去問との相性がよかったために合格した子は大勢います。もちろん逆もしかりです。模試の偏差値や合格率が高く出ていても、しっかりと志望校対策をしなかったために、不合格になってしまうことももちろんあります。
志望校対策をすれば、合格率判定30%でも逆転合格できる
では、志望校対策とは、どのようなことをすればいいのでしょうか。
あたりまえのようですが、志望校対策とは、「志望校の入試問題に合わせた勉強をすること」です。過去問演習がその軸となります。しかし、過去問演習を単にするだけでは、その効果は期待できません。「できた!」「できなかった!」で終わりにしてしまっては、意味がないからです。
では何をすべきなのでしょうか? それは「出題傾向を知ること」に尽きます。付属校と進学校で大きく出題傾向が違うだけでなく、もちろん付属校の中でも1校1校出題傾向は違います。「早稲田系」
「慶應系」の出題傾向が全く違うばかりでなく、早稲田系の中でもその傾向は違います。
たとえば大雑把に分ければ、早稲田系は「じっくり思考型」の解答を求められますが、慶應系は「即断即決型」の解答を求められます。さらに早稲田系の中では、早大学院では「論理的思考」が求められるのに対し、早稲田中学校ではじっくり深く考える思考力が求められます。慶應系でも、慶應普通部と慶應中等部では出題傾向が違います。慶應普通部では処理能力の高さと確実さが求められます。慶應中等部では平易な問題が多いなかで満点を取るくらいの確実さが要求されます。
このように各校ごとに出題傾向は異なります。『中学受験 大學付属校バイブル』では巻末の「大学付属校 完璧ファイル」で、各校の出題傾向を示しているので参考にしてください。
毎年私たちの塾では、模試での合格率判定が30%だった生徒が、志望校への「逆転合格」を果たしています。これは一見「逆転」に見えるのですが、決してそうではありません。「逆転合格」を果たしている子どもたちは、模試対策ではなく、しっかりと志望校対策をしているのです。
いくら模試で合格率80%以上を出していても、志望校対策を怠れば、合格はできません。一方、模試でいい点を取ることができなくても、志望校対策を効果的に実施していれば、合格できるのです。