人口が減少するから物価が上がらない!?

 人口が減少するから経済が低迷し、物価も上がらないという説は、藻谷浩介『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』 (角川新書、2010年)が発端だと思うが、データによる説明は、日本の人口もしくは生産年齢人口の減少と経済成長率の低下もしくはデフレのタイミングが合っているというだけである。

 もう少しデータの裏付けが欲しいと考えると、先進国の物価上昇率と人口増加率の関係が言及されることが多い(例えば、白川方明「人口動態の変化とマクロ経済パフォーマンス:日本の経験から」『金融研究』第31巻第4号、日本銀行、2012年10月。図表14)。

 私が同じ図を作ってみると下図のようになる(2000年から2010年までのデータ)。ただし、白川論文の本文では人口と書いてあるが、論文の図表14には生産年齢人口、また、物価については、多くの国で目標となっている消費者物価指数ではなくGDPデフレーターが示されている。

 先進国24カ国で、人口、生産年齢人口、GDPデフレーター、物価指数を組み合わせて相関を取ってみると、一番素直な人口と消費者物価上昇率の組み合わせが、一番相関関係が弱く、生産年齢人口とGDPデフレーターの組み合わせが一番相関関係が強くなる。

 要するに、図表を作った日銀のスタッフが、上司の望む関係が一番うまく表れる組み合わせを忖度して選んだのだろう。官僚が忖度するのは、政治家に対してばかりでなく、上司にも、である。