『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
大学に入ってから、勉強の仕方が、理解の仕方がわかりません。不安です
今まで、パッとすぐ理解できなかったものは放置してやり過ごしてきました。それでも一応大学に入れました。大学に入ると、すぐに理解できないものの割合が増えました。多分他の人からすると簡単なんでしょうけれど、私には意味不明です。今までわからないからと放置してきたものが積み重なって、どうしようもないことになっている気がします。
なんとか机に向かってみてもよくわからないので5分も勉強したら投げ出したくなります。そもそも勉強の絶対量が少なすぎるのも問題だと分かっているのですが、本当に勉強と向き合えません。気付くと本を読んだりネットしたりしてます。とりあえず何も理解しないまま手当たり次第に暗記するというセコイ方法でなんとかテストは乗り切ってきましたが、そろそろ限界です。不安でたまりません。
科目自体は好きなんです。面白いな~って思うことも多いし、たまに勉強にノれることもあります。ただ、長続きしません。わからないことがあると、考えたりせずについ検索して答えを探してしまいます。
例えばですが「○○な男性は不妊である確率がそうでない男性に比べて高いが、これはなぜだと考えられるか」という質問があったとして、論理的に考えればすぐわかるようなことなのですが、考えようともせずにボーっとGoogle検索している自分に気付いてウンザリしました。こういう状態から脱却して、生き生きと(?)勉強を楽しみたいです。逆になぜか計算問題は答えを見ずに自力で解きたいです(これが勉強法としては非効率的だというのはわかってます)しかし今学期から計算が出てくるような授業はなくなって暗記の山だし憂鬱です。
なんだかまとまりがなくてすみません。よくわからないものを理解するためのいい方法とかアドバイスもらえたら嬉しいです。
「少しの努力で確実な結果を得られる」の先へ進んでみてください
[読書猿の解答]
たくさんのことをお伝えしても届かない気がするのでふたつだけ。
まず勉強して何かを理解することは「わからない」と付き合うことです。次にちゃんと理解するためには「わかったつもり」を一度壊す必要があります。「わかったつもり」を壊すと当然「わからない」状態に一旦戻ることになります。勉強から利益を得られる人は、何度でもこの「わからない」に飛び込んでいける人、そうすることで「わからない」について耐性を身につけた人です。
「わからない」についての耐性は、自分で考えることの副産物でもあります。考えれば「わからない」状態になるのはよくあることです。まずは考えてみることは、関連ある長期記憶を活性化してその後の学習が促進するだけでなく、「わからない」との付き合い方を学ぶメリットがある訳です。
きつい言い方をすれば、あなたが計算が好きなのは、いくらかの努力を費やせば確実に結果が得られるからです。考えることには、そうした保証はありません。しかしあなたが感じておられるように、ある程度以上高度な知識を学ぶためには、「わからない」ことから逃げずに挑むしかありません。
幸いなことに、あなたが感じておられる不安や憂鬱は本物です。これまでに避けて通って来られたのなら、ようやくその機会が来たのだと思います。「わからない」と付き合う心の準備ができましたら、またマシュマロを投げてください。