『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
模試を受けました。結果は上位10%に入るほどとても良かったのですが、それでも不安で仕方がありません
初めまして。公務員志望の者です。
つい先日、模試を受けました。結果は上位10%に入るほどとても良かったのですが、それでも不安で仕方がありません。結果が良かったことで油断をしているという気がして、いざ本番になれば失敗してしまうのではないかという気がしています。追いつかれないように、追い越されないように、と勉強をしていても落ち着くことがありません。こんな気持ちでは勉強もやったつもりになっているだけなのでは、頭に入っていないのでは、という負の感情でいっぱいです。
気持ちが楽になる方法があれば教えていただきたいです。
それは「いい不安」です
[読書猿の回答]
良い知らせと悪い知らせがあります。
良い知らせは、あなたは「つもり」でなく、実際に努力を重ねており、それにふさわしい結果を得てきていることです。
悪い知らせは、気持ちが楽になるのは、試験が実際に終わったあとか、「勉強をやりきったつもり」に陥って「自分の中で試験勉強が終わった後」だということです。
「勉強をやったつもりになっているだけ」の人は、あなたよりずっと少ない努力の結果、ほどほどの結果が出ても「おれって結構やるんじゃね?」と思って安心しきって今頃心安らかでいます。そして試験では失敗します。
一方、あなたは自分がどれだけ努力してきたかを知っているので、しかもその努力量では完璧な結果を出すにはまだ足りないことも理解しているので、だから不安なんです。
試験の結果はどこまでいっても確定的なものにはなりません(だからこそ試験する訳ですから)。その意味で試験結果に対する不安はなくなりません。
これは全知でも全能でもない我々ヒトが甘受すべき不安です。
しかし、未確定の未来に対して、努力したからこそ不安になることを知れば、「こんなに不安になったらダメなんじゃないか」という不安についての不安(二次の不安)は減らすことができます。