『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
有名な一文の初出を知るにはどうすればよいでしょうか。
例えば「To be, or not to be: that is the question」はシェイクスピアのハムレットからですが、この文章だけ知っていて出典を知らない場合どのようにしてたどり着けばよいのでしょう。シェイクスピアほどになるとネットで検索すればすぐに出てきますが、繰り返し使い回されていて、一般的に知名度の高くない作家のものだとなかなかうまくいきません。
まずは、図書館のレファレンスカウンターへ
[読書猿の回答]
最適解は図書館でレファレンスカウンターに質問するか、図書館宛にメール・レファレンスを依頼することです。
この問題はこれさえすればOKという方法がないので、経験と使える資料の量・質が物をいうからです。
図書館へのレファレンス質問と解答を蓄積し、インターネットで検索できるレファレンス協同データベース でも、この種の質問はたくさんあるのですが、出典が突き止められるケースはそれほどありません。
例えば次の「自分の(居)場所に誇りを持つ人間が私は好きだ」の出典を探した事例では、いろいろ調査した結果「不明」でした。
https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000185728
しかしこの事例で見るべきは、事前調査事項に出てくる書籍リストと、回答の中の調査プロセスとそこで使われている情報源です。
インターネットやフルテキストデータベースがない時代、この種の質問に答えるために最初に見るべき資料は、英語なら『引用句辞典』、日本語なら『名言辞典』でした(漢語なら『大漢和辞典』が加わります)。古い出典なら(ネットに出てこないことも多いので)今でも役に立ちます。
現在では、インターネットなどで調べた後、そこで出てきた説を紙の書籍で確認するケースが多いようです。
普通にWebを検索する他に、Google Books、HathiTrust Digital Library などの書籍の全文検索も併用します。
最後に、メール・レファレンスの宛先と、依頼メールの例文は次の記事が参考になるかもしれません。
全国の都道府県立図書館のリスト(レファレンスサービス案内のページへのリンク付き)