『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
友達がしている活動に嫉妬してしまいます
大学生です。友達がしている活動に嫉妬してしまいます。成績の良い子、部活で頑張っている子、飲み屋や家庭教師のアルバイトを頑張っている子、いろんな人がいます。わたしは短期留学したり、楽器を始めたり、勉強会に参加してみましたが、自分がしたくてしているのに、どれも中途半端です。勉強が苦手なので、単位の確保、楽器・英語の練習時間の確保のためアルバイトもほとんどしていませんが、社会経験や成熟度が同級生より劣ってしまうのかと不安になります。成績もそれほど良くないです。卒業式で一緒に写真を撮る仲間もいないのではと不安です。月並みな悩みですが、ご意見いただければ幸いです。
自分だけの武器は「弱点」からこそ生まれます
[読書猿の回答]
いくつかお伝えしたいことがあります。
人生には、似た境遇同士が集う仲間内で些細な優劣や仲間から脱落するかもしれない不安に心痛めるフェイズと、孤立に苦しみながら自分の道を見つけるフェイズがあります。
そういう意味では、人生の岐路に立っておられます。
学生時代は似た境遇の同年代と過ごすことが多いですが、こうした状況はこの先あまりありません。異なる境遇の異世代と絡むことが通常になります。現在感じておられる不安は、それを支える状況とともにやがてフェードアウトするでしょう。
他の人と同じ経験ができないのは実は好機です。自分だけの武器は自分の弱点のそばで見つかることが多いのです。他の人より勉強に時間をかけなくてはならないのなら、より多くの時間、勉強と自分に向かい合うことになりますが、おかげで他の人には得られない気付きを得られる可能性があります。
実を言うと、人生は孤立に苦しんでからが本番です。
「孤独を感じるのは、心に血が通った証拠だ。魂が呼吸を始めたんだ」
なお不安にも良いところがあって、足りないのが何か分からないまま、不安に駆られていろいろと手を出してみると、運がよければどはまりするものに出会うこともあります。
不安を丸抱えしてくれるような格好でやって来るものは、ろくなもんじゃないので逃げてください。