英広告大手WWP傘下のグループMが1日公表する報告書によると、広告費全体に占めるデジタル広告の割合が、今年初めて半分を超える見通しだ。背景には、新型コロナウイルス禍で広告戦略の変更が加速したことがある。ネット広告は従来のメディアへの出稿よりも費用が安くすむほか、ターゲットを絞り、広告効果を測定しやすいという利点がある。コロナ禍で広告主が予算削減を余儀なくされ、自宅待機を命じられた消費者がネット通販の利用を増やす中で、こうしたメリットはさらに重要性を増した。報告書は「今年大きな打撃を受けた広告業界にとって、デジタル広告は唯一の明るい材料となった」と指摘している。グループMによると、今年の米広告出稿費(政治広告除く)は推定2146億ドル(約22兆3900億円)で、デジタル広告はこのうち51%に相当する1101億ドルに達すると予想されている。来年は全体が12%増の2400億ドル、デジタル広告が全体の54%に相当する1300億ドルの見通し。