しかしながら、施設全体や1フロアの借り上げではなく、空室の随時利用であり、「利用者保証」といった仕組みが用意されているわけではない。ビジネスホテルにとっては、もしも通常料金で利用する宿泊客が確実に見込めるのであれば、あえてこの事業に参加する必要性は薄いかもしれない。そもそもホテル業界自体が、コロナ禍によって危機的な状況にある。

なぜ支援を必要とする人が
スマホで支援情報を探し出せないのか

 年末年始の居住の場に対する切実なニーズは、確実に存在するはずだ。収入や住居を失いそうな人々、現在のネットカフェ生活を継続できなくなりそうな人々、すでに住居を失って路上生活をしている人々の実数を明らかにすることは難しい。しかし、昨年の同時期よりも多いことは間違いないだろう。

 最初のハードルは、年末年始に居住の場を必要とする人々に、「東京都なら、無料で泊まれる借り上げビジネスホテルがあります」という情報が確実に届くかどうかだ。

「広報は、大切だと思います。東京都への要望の後で行った意見交換では、『ホームページやツイッターで告知する』ということでした。しかし、緊急宿泊事業を必要とする人々は、そういう情報の届きにくい人々でもあると思います。東京都も『支援団体にも、協力をお願いしたい』ということでした」(北畠さん)

 今や、スマホは低所得層にとっての命綱に近い。今日働けて今日収入が得られるバイトも、居心地がよく安価なネットカフェも、スマホがなければ見つけられないだろう。料金未納でモバイル通信を利用できなくなっても、コンビニやファストフード店に行けば、電源もWiFiも確保できる。そのような「生活の知恵」を駆使して生き延びている人々は、一般的な「情報弱者」ではない。それなのに、なぜ自分を生きやすくする情報が届きにくいのだろうか。