菅義偉首相がGo Toトラベルの運用見直しを表明したのは、11月21日でした。国の肝入りの経済政策であり、観光業関係者が越年できるかどうかの生命線を握るGo Toトラベル事業なので、その見直しには大きな影響があります。

 しかし、この段階では見直しの中身は決まっておらず、しかも停止などの見直しについては「都道府県知事が判断し、政府が最終決定」するということで、その判断を知事に求めるという内容でした。

 この方針を受けて、大阪府の吉村洋文知事は「大阪は当てはまると思うので、その方向で進めていきたい」と述べる一方で、北海道の鈴木直道知事は、当初は停止に反対しました。しかし道内の感染者が連日200人を超え、「大変苦しい判断だが、やむを得ない」と、札幌市をキャンペーンの対象から除外するよう、正式要請しました。

国と都道府県のどちらがやるべき?
「Go To停止判断」の3つの論点

 この大阪と北海道の判断とは対照的に、「国が判断すべき」と声を上げたのが小池百合子東京都知事でした。国と都道府県のどちらが判断すべきかの主張について、論点は3つあります。

 1つ目は、東京都が「Go Toトラベル」事業の開始当初に、国による判断と決定で対象地域から除外されたという事実です。当時は「再流行は東京問題だ」という論調もあり、都は感染拡大の責任の矢面に立たされていました。これまでも国が判断してきた国のキャンペーンについて、今回だけ判断を都道府県に投げるのはおかしいのではないか、という論点です。

 2つ目に札幌、大阪の判断の非合理性です。札幌市や大阪市を目的地とする旅行への補助は停止になったものの、札幌市民や大阪市民がGo Toトラベルを利用して他の地域に旅行することは可能という決定になったのですが、これでは感染拡大の防止にならないという指摘です。

 3つ目に、政府がGo Toトラベルとコロナ第三波の流行は関係がないという説明を繰り返している点です。菅首相は衆議院予算委員会の集中審議で、「(Go Toトラベルが)原因だというエビデンスは存在しない」と発言しています。延べ利用者4000万人に対して感染者は202人に過ぎない、というのが政府の主張です。