金融市場に楽観論があふれる中、投資家は2021年の利益回復見通しについては安心しているだろう。だが2022年に関しては心配かもしれない。欧米諸国は新型コロナウイルスの感染再拡大を抑えようと苦戦しているものの、S&P500種指数を構成するほとんどのセクターは現在、年初来高値となっている。だが、米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品企業ビオンテックが共同開発しているワクチンの利用を英国が承認した2日には、株価はそれほど上昇しなかった。パンデミック(感染症の世界的大流行)に関する朗報の効果に低下の傾向が出始めてきているようにみえ、利益回復はほぼ織り込み済みかとの疑問が生じる。市場予想ではS&P500種指数を構成する企業の来年の1株当たり利益(EPS)は22%増とみられている。今年が15%減少する見通しであることを踏まえると、この見方は合理的であり、むしろ慎重とも言える。今年の夏には、制限が緩和されれば消費は非常に早く回復する可能性があることが分かった。そして、世界貿易と製造業は既にしっかりとした回復路線にあるように見える。世界金融危機後の2010年は、2009年の悲惨な結果の後だったことから、利益の伸びは40%となった。