終身雇用が崩壊すれば、いよいよ落ちていく先は、雇用が不安定で給料の安い非正規労働者か、もしくは常に中途採用を募集しているブラック企業で働くしかありません。日本には労働基準法がありますが、従業員に長時間労働やサービス残業などを強制している企業がいまだに多いのが現実です。

 このまま何もしないで流されていくと、行きつく先は派遣かブラック企業だということは容易に想像できるはずです。

 そこで、これまでの経験やスキルを生かしたり、資格を取ったりして、フリーランスになろうとしたり起業しようと考える人も増えています。

 ただし、起業した人の中で1年経過した時点で生き残っているのは4割程度しかいないという厳しい現実があります。6割の企業やフリーランスが1年で倒産あるいは廃業し、借金だけが残るか、一生懸命に働いて貯めた資本金を失ってしまっています。

 ちなみに、起業から5年後も生き残っている企業の生存確率は一気に減って15%程度です。10年ともなると、残っているのは6%というデータもあります。

 起業して成功する確率はこれほど低いわけですから、最初から起業なんて考えないほうがいいかもしれません。どうしても起業したい場合は、サラリーマンをしながら副業で始めて、収入が安定してきたらサラリーマンを辞めて本格的に打ち込むというかたちのほうが安全だと思います。

どうしても起業したいなら
手数料商売が堅実

 サラリーマンが脱サラしてどうしても起業したいと思うなら、資格を取って手数料で儲ける商売をすることをおすすめします。

 保険会社時代の職場の同僚は、税理士試験に合格したあと退職し、税理士として営業しています。ほかにも保険代理店と行政書士として長年活躍されている方もいます。私の知り合いの司法書士さんは、元は製薬会社に勤務されていたそうですが、司法書士の資格取得とともに脱サラし、司法書士事務所での研修後に独立・開業されています。

 これらの士業と呼ばれる職業は、最初に一定の顧客をつかむまでは大変ですが、その後は比較的安定した収入が得られる商売です。