池田純
横浜DeNAベイスターズ初代球団社長で、現在はさいたまスポーツコミッション会長兼さいたまブロンコス代表の池田純氏

 全試合無料の実施がリーグの規定に抵触していないことは事前に確認していました。ですからリーグからの通達は寝耳に水でした。しかもその通達内容を書面で頂くことをお願いしても応じていただけません。しかし、私としてもリーグや他のクラブに迷惑を掛けることは本意ではありません。熟慮の結果、方針を撤回することとしました。

 正直に言って、どうすればいいのか途方に暮れています。来月のシーズン開幕に向けて、無料を前提とした準備をほぼ完了してしまっているからです。選手には方針を全て説明して納得してもらっているし、ゲームを開催する埼玉県内3カ所の自治体との話し合いもとうに済んでいます。無料をうたったポスターを何千枚もすでに印刷して配布していますし、会場となる体育館とも現地で運営シミュレーションまで構築しました。入場や席の案内のオペレーションも細かに決めてしまっています。いったい、どうすればいいのか──。

 しかし、私がどれだけ悩んだところで、年が明ければシーズンは始まります。今はできることをやるしかありません。

「お金をもらわない」ことの本当の意味

 なぜ、全試合入場料を無料にしたかったのか。それをあらためて説明したいと思います。

 前回、「価値あるものを提供することによって、仲間を集めたい」といった主旨のことを私は書きました。そのためのハードルを最大限に下げる方法が、入場料を無料にすることなのだ、と。しかし、もっと根底にある思いが私にはありました。

 コロナ禍で地域の皆さんが苦しい生活をしている中で、できることならお金なんか頂きたくはない──。そんな思いです。