ディフェンスからオフェンスへ――。現状、プロスポーツ界はコロナ禍による減収をいかに最小限にするかに注力しているが、観客制限が続けば新しい収益源を確保する必要がある。特集『激震! コロナvsプロスポーツ』(全12回)の#6では、コロナ禍での新しい収入源として期待される「スポーツベッティング」「投げ銭」「スタジアム改革」について検討する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
英国ではスポーツと賭けは両輪で発展
渋谷系メガベンチャーも「賭け」解禁を熱望
「英国ではスポーツと賭けは両輪で発展してきた」(間野義之・早稲田大学スポーツ科学学術院教授)
プロスポーツの新しい収益源として期待がかかるのが「スポーツベッティング」だ。日本語に訳すと「スポーツへの賭け事」であり、野球やサッカーだけでなく、あらゆるスポーツの勝敗やスコアが対象になる。
スポーツベッティングの歴史が長い英国では、スポーツの試合結果を賭けの対象とすることで、スポーツに関心を持つ層を拡大。結果としてスポーツ界にも恩恵をもたらした。
日本のメディアがサッカーやラグビーのワールドカップ(W杯)の日本戦の前に、「英国ブックメーカーのオッズ(倍率)」を紹介して、力関係がどう見られているかを解説するのを聞いたことがある人も多いだろう。賭けの対象となるスポーツは幅広く、英国では日本のJリーグや相撲などにも及ぶ。
だが、日本は競馬が8年連続増収の2兆8817億円、競輪が6年連続増収の6604億円の売上高があるギャンブル大国にもかかわらず、スポーツベッティングは認められていない。国際カジノ研究所所長の木曽崇氏はこう解説する。
「IR法案で認めることは不可能ではありませんが、『スポーツベッティングを含めない』という意向が有識者会議側からあり、すぐに認められることはないと思われます。あらためて法案を作る必要があるため、導入には最低でも数年かかります」
日本にもすでに国内外のプロサッカーを対象にしたスポーツ振興くじ(toto)がある。これはスポーツベッティングではないのだろうか。
「totoくじは、今後Bリーグなど対象スポーツを拡大する予定ですが、あくまでもスポーツの試合を使った『宝くじ』。スポーツベッティングとは立ち位置が違います。そのため還元率も50%と宝くじと同レベルの水準に設定されています」
では今後も日本ではスポーツベッティングが認められる可能性はないのか。
実は近年、プロスポーツに参入したIT企業を中心にスポーツベッティングを解禁すべきだという声が強くなっている。実際、あの渋谷系メガベンチャーが永田町や霞が関へのロビー活動を開始しているという。