エジプトの人気歌手で俳優のモハメド・ラマダン氏は今年11月、ドバイで開かれたパーティーでイスラエルの有名な歌手と一緒にカメラの前でポーズを取った。ラマダン氏が帰国すると、政府寄りの弁護士が彼を告訴した。その理由は「エジプト国民を侮辱した」というものだった。半官半民の音楽家組合は、ラマダン氏のメンバー資格を停止した。エジプトの報道組織は同氏のボイコット運動を展開した。同氏が出演していたテレビシリーズはキャンセルされた。ラマダン氏は、一緒に写真に収まった歌手の国籍を知らなかったと語っている。同氏は先月フェイスブック上で「もし知ってれば、間違いなく写真撮影を断っていただろう」と書いている。エジプトは、40年以上前にイスラエルとの国交を正常化し、アラブ諸国の中でイスラエルを国家として承認した最初の国となった。しかし、エジプトの対イスラエル関係は、安全保障上の相互利益を主眼とすることが多かったため、これを草の根の友好へと発展させていくのは難しい課題だ。イスラエルは現在、中東と北アフリカのより多くの国々と国交正常化を通じて友好関係を築こうとしている。こうした中、エジプトの状況は1つの教訓となっている。