新型コロナウイルスの感染拡大で、誰も望まなかった在宅勤務の巨大実験が始まった。それがあまりに長期化したため、こんな疑問が生じている。オフィスはどうなっているのか? 本当にオフィスは必要なのか?歴史をさかのぼると産業革命以降、われわれは仕事をオフィスに集約するべきとの考えに傾倒し、効率的に働くための設備を整えたオフィスの不動産に多額の投資をしてきた。また従業員には、多くの時間と費用をかけてオフィスに足を運ぶことを求めてきた。そのモデルを今こそ完全に見直すべきだと考えている人が多いようだ。しかし、筆者は本当にそれが実現するのか確信が持てない。正確には把握できないが、一部の集計によると、米国の労働者で現在リモートワーク中の人は40%に上るという。失業者が大勢いることを考えれば、オフィスに出勤する人をはるかに上回るだろう。大学の遠隔授業やバーチャル礼拝が望ましいとは誰も思わないが、多くの人はリモートワークの継続や、少なくともオフィスの縮小が良識ある判断だと考えている。