初公判まで長い道のり

 そして今回、長期化が予想される理由として、死者が36人、負傷者が32人もいることが挙げられるだ。現住建造物等放火、建造物侵入、銃刀法違反の罪については一括して審理が可能だが、殺人と殺人未遂罪については68人分についてそれぞれ審理を尽くすはずだ。

 加えて、それぞれの遺族らが「被害者参加制度」を利用して公判への参加を求めるだろうから、公判前整理手続きによる公判日程の調整にも時間がかかるだろう。

 被害者参加制度は日本で08年に始まった。遺族らが公判に参加し、証人尋問や被告人質問、意見陳述、論告などができる制度だ。それまで裁判官や検察官、弁護人だけで公判が進められ、遺族や被害者の声が置き去りにされているという意見を反映して導入された。

 この制度では遺族らが被告に直接、事件について質問することができる。また、裁判官や裁判員、被告に向け、遺族らが心情を訴える機会でもある。被害者の遺族らが全員、参加を希望するわけではないだろうが、将来ある有望なクリエーターが理由も分からず、一瞬にして命を無残に奪われた凄惨な事件だけに、多くの希望者が予想される。

 ほかにも死刑が予想される事件であることから、弁護側が精神鑑定を請求するとみられる。また青葉被告は捜査段階で容疑について全面的に認める供述をしたとされるが、弁護側は寝たきりの状態で行われた取り調べによって作成された調書と主張し、任意性や証拠能力を否認する可能性もある。

 いずれにしろ青葉被告の犯人性については争いようがないので、争点は責任能力の有無になるのは間違いない。

 通常の公判では審理が進んだ後に鑑定を行うことが多いが、裁判員裁判では公判開始後に実施すると審理が一時ストップし裁判員に負担となることから、公判前整理手続き中にできるように規定している(裁判員法50条)。弁護側が鑑定を請求すれば、それも長期化の一因になるということだ。

 青葉被告の起訴で事件は大きな節目を迎えたが、まだまだ真相解明の場となる公判への道のりは長い。