当時、9人の男女が遺体で見つかり、殺人などの容疑で逮捕された白石隆浩容疑者が住んでいたアパート(2018年4月25日撮影、神奈川県座間市)当時、9人の男女が遺体で見つかり、殺人などの容疑で逮捕された白石隆浩容疑者が住んでいたアパート(2018年4月25日撮影、神奈川県座間市) Photo:JIJI

神奈川県座間市9人連続殺人事件で、強盗強制性交殺人などの罪に問われた白石隆浩被告(30)の裁判員裁判判決公判が15日、東京地裁立川支部で開かれ、矢野直邦裁判長は「犯罪史上まれに見る悪質さで、SNSが当たり前になった大きな社会に不安を与えた」として、検察側の求刑通り死刑を言い渡した。SNSに自殺願望を投稿していた9人に「一緒に死のう」と誘い、女性には性的暴行を加えて殺害し現金を奪い、遺体をバラバラに切断してアパートに放置していた凄惨な事件。公判では殺害を巡って承諾があったかどうかが争点となったが、判決は被告が苦悩する被害者をだまして誘い出し自己の欲望の赴くまま蹂躙していたと断罪した。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

初公判で微塵も感じられない緊張感

 判決によると、白石被告は自宅アパートで2017年8月下旬~10月下旬、女性8人に性的暴行をしたほか、男性1人を含む計9人を絞殺して現金数百~数万円を奪った。その後、遺体を切断して、自宅アパートに遺棄した。

 公判を巡っては9人の生命が奪われたという重大性から、1つ1つの事件について慎重な審理が必要なため、事件の時系列順に被害者を3つのグループに分け、それぞれ冒頭陳述や被告人質問、中間論告する手続きで実施された。

 また遺族の希望により、被害者の氏名を伏せて審理する「被害者特定事項秘匿制度」が適用され、A~Iのアルファベットで呼称。遺族の傍聴席は衝立で遮蔽(しゃへい)される異例の審理となった。