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発生当時「平成の八つ墓村」として話題
2013年に起きた連続放火殺人事件を追ったルポ

『つけびの村』書影
『つけびの村』 高橋ユキ著 晶文社刊 1600円+税

 今年は、ノンフィクションに動きがあった年だと思う。途轍もないビッグヒットがあったわけでも、当たり年だったわけでもない。エビデンス重視の世の中で私的な感覚を言うのも憚られるが、私は潮流の変化を感じた。

 年末に読んだ開高健賞受賞作『聖なるズー』は刺激的で今後さらに話題になる予感があるし、2年目をむかえた本屋大賞ノンフィクション本大賞受賞作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』はすでに大きな話題になっている。

 歴史ある賞だけでなく影響力をもつ賞が新たに生まれたのは、画期的な出来事だ。そして近年、ノンフィクションを世に出す新たな装置も生まれている。noteなどのweb上の有料閲覧システムだ。そこで生まれた本で、今年私が最も注目した本がこの『つけびの村』だ。

 発生当時「平成の八つ墓村」として話題になった、2013年に起きた連続放火殺人事件を追ったルポである。出版社に持ち込んだがボツになった原稿をnoteにあげたところ人気になり、単行本化されたものである。 noteがなければ、本になっていなかっただろう。