給付抑制の「水際作戦」から打って変わり、厚労省が生活保護の申請や利用に関して、本気で情報発信を行っている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

厚労省の情報発信に見える
官僚たちの“本気”

 新型コロナの感染者が増加し、影響が深刻化する中で、昨年よりも寒さの厳しい冬がやってきた。あと数日で、年末年始の閉庁期間へと突入する。今年秋から年末にかけて「コロナ解雇」に見舞われた人々、家賃滞納などによって住居を喪失しそうな人々、あるいはすでに住居を喪失してしまった人々にとっては、例年の年末年始よりも厳しい条件が重なる年の瀬だ。

 しかし、困難な状況にあり、生き延びるための情報を得ることも容易ではない人々は、どこの誰に助けを求めればよいのだろうか。

 今年の年末年始が昨年以前と異なるのは、厚労省が本気で情報発信を行っていることだ。2020年、コロナ禍の影響が日本国内で目に見える形となって現れるのよりも早く、厚労省社会・援護局は、既存の制度の対象を拡大し、柔軟に運用する姿勢を見せ始めた。

 1950年に発足した生活保護制度は、わずか4年後の1954年に利用抑制へと方針を転換し、2020年現在に至っている。方針転換の背景は、「適正化」という名目で社会保障支出の削減を求める大蔵省と、必要な社会保障予算の確保と制度運用を求める厚生省内勢力の対立だった。この図式は、現在も「財務省 vs. 厚労省内勢力」の形で存在しているのだが、2020年は、生活保護の「適正化」方針が転換の可能性を見せた年として記憶されることになるかもしれない。

 そして12月22日、厚労省は画期的な情報発信を開始した。「生活保護を申請したい方へ」(www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsuhogopage.html)というウェブページを設けたのだ。さらにページのトップには、画像で「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください」と明記されている。権利性を明確に認めて利用を勧める文言が厚労省のウェブサイトに現れたのは、筆者の知る限り「史上初」である。