そして、日本人で若く健康な肉体を持っていても、「仕事を選ばなければ働けるはずだ」という状況ではなくなっているようだ。

「相談された方の傾向を見ると、もともと非正規雇用や個人事業主など不安定な働き方をしている人たちが、コロナによる影響で減収したり失業したりすることによって、生活困窮に追い込まれていることがわかります」(渡辺さん)

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 身分の名目が何であれ、労働者性が認められれば、実質的な雇用者には一定の責任が課せられる。いきなり減収させたり失業させたりすることが認められている場面は、極めて少ないはずだ。しかし渡辺さんは「不当解雇が疑われる状況でも『会社と争いたくない』という声が多い」という。新規に就労して現在の困難から脱却することは、現在の状況では難しい。そういう場面のためにあるのが、最後のセーフティネット・生活保護だ。

「しかし、生活保護を利用すべき状況でも『できるだけ使いたくない』という声が多いんです。不当解雇で会社と争いたがらない方と同様に、自己責任論を強固に内面化しており、正当な権利行使を自ら断念してしまっているわけです。そういう方が多かったことも、今回、印象的です」(渡辺さん)

 生活保護を申請するために福祉事務所に行くと「水際作戦」に遭うこと、生活保護の対象となれば「就労支援」の名のもとに強いプレッシャーをかけられて生活保護からの脱却を迫られることは、「公然の秘密」に近い事実として認識されてきた。