地方の街も直撃するコロナ禍
家賃が払えない外国人労働者の悲鳴
2020年5月18日、長野県箕輪町にある上伊那生協病院の駐車場で、「なんでも無料相談会」と題する相談会が開催された。行政をはじめとする各機関が協力して、文字通りの「ワンストップサービス」を提供するという、画期的な相談会である。開催の中心となったのは「SOSネットワーク上伊那」。2008年のリーマンショックと「年越し派遣村」の流れから活動を開始し、現在に至る。
相談会は、同日の午前9時から11時の2時間にわたって開催された。10人が訪れ、うち9人は外国人、1人が日本人であった。外国人の国籍ではブラジルが最多だったが、バングラデシュ、スリランカ、パラグアイと多彩であったということだ。各言語への対応だけでも大変そうだ。
「SOSネットワーク上伊那」のメンバーであり、上伊那生協病院に勤務する医療ソーシャルワーカーでもある鮎澤ゆかりさんは、もともと外国人労働者や外国人技能実習生が多い地域にコロナ禍が重なり、「通訳士や通訳ボランティアは不足がち」という。当日、4人の通訳者が対応できた言語は、ポルトガル語、スペイン語、英語であったが、「なんとかなった」(鮎澤さん)ということだ。通訳者のうち1名は、町役場の職員であった。
相談に訪れた10人が抱える困りごとのうち、最も多かったのは「家賃が払えない」という内容だった。家賃が払えないのは、仕事と収入を失ったからだ。生活困窮者支援制度には、「住宅確保給付金」があり、外国人も対象となっている。しかし、寮は対象にならない。
「派遣業者の寮が、業者の好意で失職後も提供され続けている場合、家賃が発生していても、住宅確保給付金の対象にはならないんです。制度で想定していなかった部分です」(鮎澤さん)