テレワークの普及で増えた「在宅勤務」。通勤時間がなくなったはずなのに、昼食は適当にレトルトやカップ麺で済ませていないだろうか? 「忙しいから」は言い訳にすぎない。実は、仕事の合間に“ちょっとした自炊”を挟むことは、仕事のパフォーマンスまで高めてくれる。佐々木俊尚氏の新刊『人生を救う 名もなき料理』から、在宅ワーカー必見の「料理と生産性」の関係を紐解く。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

「ずば抜けて仕事ができる人」が在宅勤務の昼休みにしている意外な習慣とは?Photo: Adobe Stock

在宅ワークで気づいた料理の心地よさ

 わたしはコロナ禍で外出できなくなっていたころ、自宅でさかんにシチューなどの煮込み料理を作っていた。

 もっともよく食卓に出したのは、アイリッシュシチューだった。とてもシンプルな料理である。

 必要な食材は、豚(好みで牛や羊でも)のブロック肉。バラだと脂が強すぎるので、ロースかももなどがいい。

 肉の他には、タマネギとジャガイモ。調味料は塩。用意するのはたったこれだけ。シンプルの極みである。

放置して煮込むという習慣

 深鍋にタマネギと肉を放り込み、水をたっぷりと入れて火にかける。最初から塩を足すが、塩辛くなりすぎないように若干薄めにしておくとよい。

 火にかけて、グツグツと沸騰してきましたらアクを取り、アクが出なくなったらトロ火にする。

 ふたのすき間を少し空けて蒸気が逃げられるようにして、そのまま二時間ほどは火のついたまま放置する。放置している間に、机の前に戻って仕事を続けるのだ。ただし火の元だけは気をつけて、ときどき見に行く。

仕事をしながら料理するスタイル

 仕事の合間にときどき鍋の様子を見に行って、味見をして「よしよし」とうなずく。そういうプロセスを楽しめる料理である。

 アイリッシュシチューもビーフシチューも、火にかけっぱなしにして放置しておくだけ。

 さすがに家を留守にするわけにはいかないが、何度もキッチンを見に行く必要はない。「仕事をしながら料理する」というスタイルに最適なのだ。

 仕事の合間に仕込んだものが、ちゃんとした一食として完成する。この達成感と心地よいリズムこそが、単なる自炊の枠を超え、在宅勤務での圧倒的な生産性の差につながるのだ。

(本記事は、書籍『人生を救う 名もなき料理』を抜粋・再編集したものです)

佐々木俊尚(ささき・としなお)
1961年生まれ、文筆家。テクノロジーから政治、経済、社会、ライフスタイルにいたるまで縦横無尽に発信している。現在は東京・長野・福井の三拠点生活を送り、コロナ以後に注目されてきている移動生活の先駆者でもある。妻は、イラストレーターの松尾たいこさん。一緒に暮らし始めたときから、料理は全面的に担当。その毎日の食卓を織り交ぜつつ、手際のよい調理の仕方、献立の立て方などを紹介した著書『家めしこそ、最高のごちそうである。』(マガジンハウス)は、大きな話題を呼んだ。『人生を救う 名もなき料理』は、12年ぶりの料理関連の書き下ろしとなる。