これまでのところ、自動車業界はわずかな傷を負っただけで、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から抜け出せている。だが、長期的な影響はより深いものになる恐れがある。調査会社ワーズ・インテリジェンスによると、米国では昨年、普通乗用車、スポーツ用多目的車(SUV)、ピックアップトラックなどを含む「乗用車」カテゴリーの販売台数が合計1450万台だった。これは2019年を約15%下回る水準だが、新型コロナウイルスの第1波で多くのディーラーが休業を余儀なくされた春の時点で想定されたものよりも大幅に良い結果だ。第4四半期だけでみると前年の水準を2%下回るにとどまった。コロナ感染を恐れて駐車場に近づかない人もいたようだが、その一方で、予想されていた自動車産業への痛みの多くは、公共交通機関よりも自家用車が急に選好されるようになったことや耐久消費財に支出する家計傾向が強かったことで緩和された。米国の車両からのアップルの地図への経路案内リクエスト数は3月には激減したが、5月末には回復した。交通機関の乗り継ぎ案内の利用が1月の水準を60%下回ったままだったにもかかわらずだ。背景には、レストランでの外食や旅行に使われなかった家計の一部が、驚くほど高額な新車や中古車に向けられたこともある。
自動車販売の長期リスクはZoom、ウーバーではない
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