スポーツビジネスの新しいモデルを提示する大会に

――音楽ライブなどでは、オンラインでの配信が定着しつつあります。東京オリンピック・パラリンピック大会でもオンライン配信はあり得るのでしょうか。

朝日 政府はデジタル活用を推進していますが、スポーツ分野のデジタル化はまだあまり進んでいないのが現状です。オンライン配信を行うのであれば、民間のアイデアや技術力をお借りする必要があります。民間主導を前提とした上で、国から助成金を出すとか、制度上の規制を緩和するとか、そういった形での協力体制ができればいいですよね。

池田 プロスポーツの中でも、オンライン活用に力を入れるチームは増えてきています。そのノウハウを大会に生かす方法はあると思います。

 もう一つ、デジタル活用のほかにこの大会でぜひチャレンジしていただきたいのは、スポーツ産業の新しいモデルづくりです。私は、コロナショックによってスポーツビジネスの在り方は変更を余儀なくされたと思っています。これまでは、できるだけ多くの観客を集めてチケット代で稼ぐのがスポーツビジネスのセオリーでした。しかし、観客を満員にはできない状況があり得ることが、コロナショックによって分かりました。

 東京オリンピック・パラリンピック大会の競技会場への入場がフルスペックになったとしても、これまでの大会よりも観客数は間違いなく減ると思います。当然それによって入場料収入も減ることになります。では、どこで稼ぎを生み出していけばいいか。この大会でそれをみんなで考える必要があります。スポーツビジネスの新しいモデルを提示すること。それが「東京2020」の一つのレガシーになるのではないでしょうか。

朝日 私は、スポーツの醍醐味は人と人がリアルに接するところにあると考えています。その醍醐味がコロナ禍によって失われることになりました。その分、リアルの価値は以前より高まったと言えます。リアルな環境から熱狂を生み出すコンテンツとしてのスポーツの力は群を抜いています。その価値が認識され、資金が集まり、それがチームや選手に還元される。そのような好循環を生み出していくモデルが今後できていけば理想的だと思います。「リアルな熱狂」という価値をどう経済的価値に変えていくか。東京オリンピック・パラリンピック大会を契機に、その課題にもぜひ取り組んでいきたいですね。

(後編に続く)