東京五輪延期
東京五輪の延期に伴い聖火リレーの中止されたが、聖火は東日本大震災の被災地を照らす「復興の火」として、福島県いわき市に展示されている Photo:Clive Rose/gettyimages

「いま人類は、すべての予定を奪われている」と表現していいだろう。

 今日すべきことが、できない。世界中で、自由が制約されている。卒業式も入学式も結婚式も自粛を求められ、通夜や葬式さえ危険と認識されている。先の予定を明確に決めることもできない。言うまでもなく、新型コロナウイルスの感染がいまだ進行中で、終息の目途が立たないからだ。

 プロ野球の開幕、Jリーグの再開など、あらゆるスポーツの日程もまったく決めることができない。ラグビーのトップリーグ、バスケットのBリーグなどは今季の途中終了を決めた。そんな中で、2020東京オリンピックだけが2021年7月23日の開幕を決めた。

 早く決めないと選手の調整や代表選考のスケジュールにも影響する、会場の確保など準備も進められないから、といった理由が挙げられているが、「遅くとも来年夏まで延期」が決まった直後に、具体的な開幕日まで発表された経緯に戸惑いと不信の声が高まっている。

米メディアも開幕日の発表に
「無神経の極み」と批判

 共同通信は4月1日、アメリカのUSA Today(電子版)が、東京オリンピックの新たな開催日程の決定を「無神経の極み」と批判したと次のように報じた。

「(前略)同紙の運動担当コラムニストは『世界中が疫病と死と絶望に包まれている時に、なぜ日程を発表する必要があるのか』と指摘。『せめて暗いトンネルを抜けて光が見える時まで待てなかったのか』と述べ、新型コロナウイルス感染の状況改善を待つべきだったとした。

 さらに来年7月に感染が終息している保証はないとして、発表が拙速だったと主張した。」(共同通信「『無神経の極み』と批判 五輪日程発表で米紙」(4月1日配信)より)

 私も同感だ。

 東京オリンピックの1年延期が決定された時点で、日本では(とくに東京では)新型コロナウイルスが比較的安定した状態でコントロールされ、ほどなく落ちつくのではないかという楽観的数字が流布していた。ところが、東京オリンピックの延期が決定した途端、東京都内の患者数が急増し、小池百合子東京都知事が繰り返し、「外出自粛」を求める危機的空気に覆われた。

 この背景に、意図的な数字や報道の操作があったと推測するメディアもある。その真偽はここでは問わないが、延期決定を境に、東京の危機感はうなぎのぼりに上昇した。その危機意識高揚の前に、7月23日という具体的日程までが電撃的に決められた感は否めない。