経済的に自立して早期リタイアを果たす「FIRE」を目指し、
株式投資を始める個人投資家が増えている。
その多くの投資対象は日本株だが、じつは米国株こそFIREへの近道だ。
米国株は日本株より手堅い。
某大手金融機関に勤めていた著者は、40歳で早期リタイアを考え始め、
2020年に資産1億円達成を計画。
計画を前倒しで2019年に目標達成、51歳で早期リタイアを実現した。
初の著書『【エル式】 米国株投資で1億円』では、
早期リタイアの大きな原動力となった米国株の投資術を全公開。
これまでの投資歴や投資銘柄、今さら聞けない米国株投資の基礎の基礎から、
年代や目的別の具体的な投資指南、最強の投資先10銘柄に至るまで、
“初心者以上マニア未満”の全個人投資家に役立つ情報を徹底指南する。
日経225銘柄の入れ替えは1社だけ
日米の株式市場の違いをはっきり示すのが、両国の代表的な株価指数である「日経平均株価」と「S&P500」の銘柄の入れ替え率の違いです。
日経平均株価は、東証一部に上場している約2000社のうち、取引が活発な225銘柄の株価をもとに算出される株価指数です。
一方のS&P500は、ニューヨーク証券取引所と新興企業が多いナスダックに上場する500銘柄から算出される株価指数です。
日経平均株価を構成する225銘柄のうち、入れ替わるのは1年あたり1~2社程度。
毎年9月に発表、10月に入れ替えられますが、2020年は1社だけ。
業種セクター間の銘柄数の過不足調整により日本化薬(東証一部・4272)が除外され、市場流動性の観点からソフトバンク(東証一部・9434)が採用されました。
このように日本の株式市場では、激しい市場環境の変化を反映して、新陳代謝が活発に行われているとはいえない状況なのです。
S&P500では、1年あたり20社前後が入れ替わっています。
M&A(企業の合併・買収)や部門売却、倒産、上場廃止などで対象から外れる銘柄もありますが、指数を策定する主体である「S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス」の裁量による入れ替えも多く、コーポレート・ガバナンスがきっちりと機能し、企業価値の向上と株主への利益還元を行っている銘柄だけが生き残れるようになっているのです。
1896年発足とS&P500よりも歴史が古く、アメリカでもっとも有名な株式指数であるニューヨーク・ダウ(ダウ・ジョーンズ工業株30種平均)も、ニューヨーク証券取引所とナスダックに上場している有力30銘柄から算出されています。
2018年にはゼネラル・エレクトリック(GE)が算出対象から外されて、発足から生き残っている銘柄はとうとうゼロになりました。
ゼネラル・エレクトリックは時価総額で一時世界最大でしたが、近年の業績不振による株価低迷によって除外を余儀なくされたのです。
個人投資家が中長期で利益を上げるなら、不透明で新陳代謝も遅い日本の株式市場より、透明性が高くて新陳代謝も早く、より投資環境が整っている米国株式市場での投資を考えるべきなのです。