かぶ1000氏が株式投資で累積利益4億円を稼いだ原動力は、資産バリュー株投資の一つである「ネットネット株」投資。その投資手法から導き出される銘柄を見つけるために特集『資産1億円の作り方』(全19回)の最終回では、ダイヤモンド編集部で銘柄のスクリーニングを試みた。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
累積利益4億円を築き上げた
かぶ1000流「ネットネット株」
お手伝いをして得たお駄賃やお年玉をコツコツとため、満期を迎えた郵便局の定額貯金40万円を元手に、株式投資で累積利益4億円を稼いだ、名物投資家のかぶ1000氏。その資産形成に大きく貢献したのがバリュー株(割安株)投資であり、中でもかぶ1000流「ネットネット株」だ。詳細については、本特集の#18『貯金40万円→4億円!かぶ1000流「割安株投資術」を惜しみなく開陳』をご覧いただきたいが、以下でポイントを解説していこう。
バリュー株投資とは、企業価値に対して割安に放置されている株に投資することで、企業の利益成長によって株価が右肩上りになるグロース株(成長株)投資に比べると、地味で株価の反応は限定的なため、株価上昇には時間がかかることが多く、リターンを得るのに時間が掛かると思われている。
しかしながら、株価は長期的に見れば、企業のファンダメンタルズ(業績や財務状況)に収束する傾向が強まるため、いずれは企業価値を反映した株価に収斂していくと考えられている。故に、「バリュー株投資はローリスク・ミドルリターンであることが多い」というのが、かぶ1000氏の経験則だという。
そのバリュー株投資の中でも特にかぶ1000氏が資産を大きく増やすのに貢献したというのが、冒頭のネットネット株である。
これは、バリュー株投資の父と呼ばれる米国の投資家、ベンジャミン・グレアム氏が提唱した投資法だ。「1万円札の入った財布が5000円で売られているような株」のことで、流動資産から総負債を差し引いた「正味流動資産」に対して、株価が割安な株を指している。
それをさらに進化させたものが、かぶ1000流ネットネット株で、計算式は以下の通り。
かぶ1000流ネットネット株
=換金性が高い流動資産-総負債 > 時価総額
そして、この「換金性が高い流動資産」とは、以下の通り。
換金性が高い流動資産
=現金および預金+受取手形および売掛金+有価証券+投資有価証券-貸倒引当金
商品や仕掛品、原材料、製品などの評価を保守的に見てゼロとし、その一方で、通常は固定資産に分類される投資有価証券は換金性が高い資産に属すると考えられるため、かぶ1000流では流動資産に加えている。
こうして計算した換金性が高い流動資産から総負債を引いたものが時価総額よりも大きい企業の株が、かぶ1000流ネットネット株だ。そして、時価総額÷(換金性が高い流動資産-総負債)が「ネットネット指数」となる。このネットネット指数が1未満の株が、かぶ1000流ネットネット株の最低条件となっている。
このかぶ1000流ネットネット株をダイヤモンド編集部で独自に算出したのが、次ページの銘柄リストだ。