イスラエルは既に国民の2割以上が新型コロナウイルスワクチンの1回目の接種を終え、世界の中では「最速レベル」のペースでワクチン接種が進んでいる。そんな「ワクチン優等生」であるイスラエルだが、ワクチン自体は不足しており、接種には高齢者優先などの「順位」が決まっている。しかし、「余る」ことがあり、優先順位が低いはずの健康な若者でも接種できるケースがある。その理由や、イスラエルのワクチン事情についてレポートする。(イスラエル国立ヘブライ大学大学院・総合商社休職中社員 徳永勇樹)
ワクチン接種件数が
著しく伸びているイスラエル
イスラエルのワクチン接種件数が著しく伸びている。昨年末にワクチン接種が開始されて以降順調に数を伸ばし、60歳以上の国民の3分の2が接種を完了したという。
イスラエルでは194万人がワクチン接種を完了しているが、これは同国の人口929万人の5分の1以上に相当する。1月10日にも、ネタニヤフ首相は1日あたり17万人分のワクチン接種を指示。来月には「イスラエルは世界に先駆けてパンデミックから脱出する」とさえ言われている。
その一方で、その急速なオペレーションに耐えられず、ワクチンが適切に分配されていない問題も発生している。そのことを知ったのは、日頃から大変お世話になっている知人からこんなメッセージが届いたことがきっかけだった。
「ワクチンが余っているらしいけど、受けてみるか?」