新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は、まだまだ終息が見えない。そんな中、このタイミングで、世界保健機関(WHO)がポスト・コロナの感染症として「はしか」(麻疹)の世界的な大流行について警鐘を鳴らしている。その理由や背景などについて解説する。(ナビタスクリニック理事長、医師 久住英二)
なぜ今、WHOは
「はしか」を警告するのか?
世界中が新型コロナウイルス感染症の第3波の脅威にさらされる中、世界保健機関(WHO)は先月、世界における「はしか」(麻疹)の増加傾向に警鐘を鳴らした。世界のはしかによる死亡者数は2016~19年に50%増加し、2019年には20万7500人以上の命が奪われたという。
特に2019年には全WHO地域で急増し、感染者は86万9770人を記録。1996年以来、過去23年間で最悪となった。日本も、例外ではない。国立感染症研究所の発表によれば、2019年の感染者数は744人を記録。数年おきに流行を繰り返しているとはいえ、WHOから「排除国」と認定を受けた2015年にはわずか35人だったのと比べると、20倍以上となった。