姜大使は歴史問題について日本を批判し続けてきた。しかし、大使として赴任したからには個人的見解はいったん棚上げし、日本人の意見をよく聞き、日韓関係を謙虚に見つめなおしてほしい。そうした姿勢なくして日本人から尊敬されることはないだろうし、信頼されることもないだろう。

 慰安婦判決について、姜大使は「日本は司法自制の原則(日本の最高裁は外交的に機微な問題、国内政治的に問題化しやすいものの判決を自制する)があり外交的事案に対しては政府の意見を聞くようになっているが、韓国は完全な三権分立体制になっているため、そうすることはできない。そのため政府の立場ではちょっと困惑している。しかし、そのまま尊重して解決していこうとしているので本当に難しい」と語ったという。

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 しかし、司法の判決を「そのまま尊重して解決」していくことなどできるはずがない。日本はこの判決が国際慣習法に反するものであり、韓国がそれを主張する限り問題解決はないということを明確にしている。姜大使は韓国政府を代表する人であり、その立場を代弁することは当然であるが、同時に日本の立場を韓国へ正確に伝える役割もある。そのためには日本人の意見を聞くところから始めることが得策だと思う。

 姜大使は文在寅氏がやろうとしていることをどう見ているのか。韓国が優しい姿勢で妥協を求めているのに、日本が応じないのは遺憾だと考えるのではないか。しかし、日本に来れば、韓国側の姿勢が全く評価されていないことを理解するだろう。

 朝鮮日報によれば、文政権の中枢にいる人は国内では「帝王のように君臨し外に目を向けない運動圏」の人々であり、そのような人々が政権の唯我独尊の世界観を形成していると論評している。こうした、世界観を打破することが姜大使の最大の役割である。活躍を期待したい。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)