パット・ゲルシンガー氏ゲルシンガー氏はアンディ・グローブ氏に技術トレンドの読み方を学んだと2019年のインタビューで語っていた Photo by Masato Kato

米半導体大手インテルがトップを交代する。新たなCEOに就任するのは、かつて同社のCTOを務めたパット・ゲルシンガー氏だ。“出戻りエース”の招聘で、かつての輝きを取り戻すことができるか。(ダイヤモンド編集部 大矢博之)

「インテルのCEO(最高経営責任者)という夢の仕事のために“家”へ戻ることに興奮している」――。

 1月21日(現地時間)、米半導体大手インテルの2020年12月期決算説明会。参加者の注目を集めたのは、かつての“技術部門のエース”の発言だった。2月15日付でインテルのCEOに復帰するパット・ゲルシンガー氏である。

 ゲルシンガー氏は18歳でインテルに入社。“中興の祖”として名高いアンディ・グローブ元CEOの薫陶を受け、当時のドル箱製品だった半導体「80486」の設計などに携わった。

 2000年にはインテル初のCTO(最高技術責任者)に就任。09年に米EMC(現DellEMC)に移籍するまで約30年にわたってインテルに勤めた。その後、12年から米IT大手VMwareのCEOに就任。米求人情報大手グラスドアの19年の「全米ベストCEO」に選ばれたこともある。

“スター経営者”の出戻り人事が発表された1月13日、インテルの株価は7.0%上昇。一方のVMwareの株価は6.8%下落した。たった1人の人事によって2社合計で200億ドル近い時価総額が動いたのだ。