米中ハイテク戦争の鍵を握るのが半導体。その覇権争いの激化で“投資バブル”が始まった。特集『企業直撃 新・地政学リスク』(全14回)の#10では、最新事情に精通する英調査会社オムディアの南川明シニアコンサルティングディレクターが、日本企業の勝機とリスクを解き明かす。(構成/ダイヤモンド編集部 村井令二)
米中対立の本質は
半導体の“争奪戦”
米中対立は貿易摩擦から始まったが、今起こっていることはハイテクの覇権争いだ。
中国は、習近平指導部が掲げるハイテク振興策「中国製造2025」で、建国100周年の2049年までに世界トップレベルの技術で製造強国になると宣言している。これを米国は徹底的にたたくと決めた。ハイテク技術とはすなわち軍事技術だからだ。
ハイテクで最も重要な技術は半導体である。中国は「2025」で半導体自給率を70%に引き上げる計画を立てているが、米国は、それをスローダウンさせるためにあらゆる手段を使い始めた。
これは決してトランプ米大統領の思い付きではない。中国を危険視する考えは、オバマ政権の頃からあったので、米国は計画的にそして徹底的に、中国の技術をつぶしにかかるだろう。
もはや両者とも一歩も引けない状況に入った。この対立が5年、10年と続くのは間違いない。