ノイズに耳を 傾けろ
Photo by Masato Kato

ソフトウエアの仮想化技術を手掛ける米IT大手VMware(ヴイエムウェア)が、クラウド化の波に乗って好調を維持している。11月に上方修正した2020年1月期の売上高は前期比12.5%増の101億ドルの見通しで、営業利益率も33%を見込む。率いるのは、米半導体大手インテルでCTO(最高技術責任者)を務めた経歴を持つパット・ゲルシンガーCEO(最高経営責任者)だ。米求人情報大手グラスドアの19年の「全米ベストCEO」にも選ばれたゲルシンガー氏に、テクノロジーのトレンドの読み方を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

テック業界で40年働き
“パターン”の見方を知っている

――米インテルにいた2000年代から、現在のようなクラウド時代を構想していました。どうやってテクノロジーのトレンドを予測しているのでしょうか。

 私はテクノロジー業界で40年間働いてきました。 経験を積んだことで、ある種の“パターン”の見方を知っています。 私は半導体ジョークが好きで、未来を予測するためには紙と定規と半導体のログ(編集部注:Semi-log、片対数グラフとかけている)が必要なのです(笑)。そして、無線通信のソフトウエアは、パターンを見るのが難しい。目に見えませんからね(笑)。

 さて、今、何が起こっているかに注目するとしましょう。すると、「前回はこうだったかな」と思い当たる人がいます。過去の状況に対して、現在の環境がどう当てはまるかを考えることで、明日の直観を得ることができるのです。そして私は、将来がどうなっていくのか、その良しあしの着眼点をとても鍛えることができました。また幸いなことに、わが社の未来の予測も非常に優れていると感じています。

――どんなパターンが見えているのですか。

 そうですね、例えば最近ではクーバネティス(というシステム)に注力すると決めました。かつて私は、「(プログラミング言語の)Javaに注目しろ」と最初に言いだした一人です。そして、今と似たような状態を前にも見たなと感じ、クーバネティスに注力しろと言いました。私の考えが正しければ、クーバネティスは次のJavaのようなもので、われわれはこれに取り組むべきです。そして、標準的な技術へと持っていきたい。ご存じのように、多くの標準規格は失敗しますからね。

――多くのものが標準規格になり損ねていますね。

 大半の標準規格は失敗します。業界や商用的なサポートがあってもです。ですが、標準規格の成否には、パターンがあります。それを私は“魔法”の一種だと感じています。商用サポートも技術もない。そのとき、誰がケアするのか。それは外部のオープンソースのイノベーションです。オープンなコミュニティーがない場合、人々は「独占だ」と言って、誰も乗ってこないでしょう。私もそれには乗りません。標準規格を実現するためには、商用性と団結力のバランスを極めて注意深く取る必要があります。そして、クーバネティスはそのバランスがうまく取れている。これこそが私が以前に見たパターンなのです。