GAFA 解体指令#3

iPhone上で動くさまざまなアプリは、現代人の生活に欠かせない存在となっている。このアプリに対し、アップルが冷徹な「税金」を課している――そんな反発の声が、世界中のアプリ開発者から上がっている。特集『世界が変わる GAFA解体指令』(全11回)の#3では、アップル税を巡る激しい議論を追った。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

アプリ開発者が苦しめられる
アップル税30%という“重税”

 米アップルは2007年に発表したiPhoneで、電話とコンピューターが融合したスマートフォンという新領域を開拓した。現在はアップル以外にも多くのブランドから高性能スマホが販売されているが、世界のスマホユーザーの5人に1人がiPhoneを愛用している。(米調査会社ガートナー調べ)

 この巨大なユーザー市場を狙い、世界の多くのソフト開発者が、iPhone向けアプリを開発している。ヒットアプリが開発できれば、パソコン1台で一獲千金も可能。アップストア(アップルが運営するアプリ流通マーケット)では日々、新しいアプリがリリースされている。消費者にとってもこれらのアプリは、快適で楽しい生活を送るために不可欠な存在になりつつある。

 ところがこのアップストアが、一部の開発者から厳しい批判の対象となっている。アップストアでは、アプリ販売やアプリ内課金の金額のうち30%が手数料としてアップルに割り当てられる。いわゆる「アップル税」の問題である。一部の開発者から見れば、アップルは冷酷な徴税人の顔をしているのだ。

「差別税(a discriminatory tax)」。そう厳しい表現で批判するのは、音楽配信サービスのスウェーデン企業、スポティファイである。特設サイトまで開設して、アップル税の問題を訴えている。また批判するにとどまらず、アプリではなく自社のウェブサイト経由で定額制サービスの課金を始めている。動画配信サービス運営の米ネットフリックスも19年1月に、アップル税を回避しようとアプリ内課金を廃止した。

 GAFA解体指令――米議会下院司法委員会の反トラスト法小委員会が10月に発表した報告書を、本特集はこう呼んでいる。報告書がGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)4社の解体を提言する過激な内容だからだ。この報告書では、アップル税の問題も詳細につづられている。中身を見ていこう。