被相続人が若くして急に亡くなり、資産の整理や心構えができていなかった場合、予期せぬトラブルが生じることがある。今回は、ワンマン経営者だった父が急逝したケースから、相続の見落としがちな注意点を見ていきたい。(税理士 木下勇人)
ワンマン社長の父が急死!
相続で発生した問題とは
今回は、経営者であった父に相続が発生したケースを紹介します。相続人は、配偶者である母、長男(以下Bさん)、長女の3人。Bさんは父の後継者として会社の役員となっていましたが、父のカリスマ性が強くワンマン経営といっても過言ではありませんでした。
資金繰りから取引先開拓まで父が全てを管理しており、父の一存で決定されているというのが実態でした。しかし、それでも業績は好調で、銀行から借り入れもしながら、規模を拡大していました。
そんな中で、突然の体調不良により体調を崩した父。ステージ4のすい臓がんで余命1カ月と宣告されました。懸命に闘病生活を送っていた父でしたが、宣告の通りに亡くなり、相続が発生することになりました。